

株主の皆様におかれましては、日頃より多大なるご高配を賜り誠にありがとうございます。
2024年12月期は、売上高は前年同期比5.4%増の6,606百万円、営業利益は前年同期比42.8%増の762百万円、経常利益は前年同期比40.5%増の759百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比58.1%増の571百万円となりました。
セグメント別の業績については、メディア事業は「コエテコ」や「キレイパス」といった業界特化型(学び・美容医療)事業が引き続き順調に成長し、収益フェーズになったことから、売上高は前年同期比7.4%増の5,851百万円、営業利益は前年同期比71.8%増の662百万円となりました。ソリューション事業は、「アフィタウン」のアフィリエイト広告需要が低調であったことから、売上高は前年同期比7.8%減の754百万円、営業利益は前年同期比32.4%減の100百万円と前年同期割れとなりました。
2024年12月期を振り返ると、経済状況が短期的には資源価格の高騰やインフレの進行、長期的には労働力不足や人口減少など、景気減速の懸念が高まる中、当社は過去最高益を更新しました。そして、4期連続で上方修正を上回る着地となったのは、投資育成をしていた業界特化型の美容医療や教育関連事業が利益フェーズに転換をしたことが非常に大きいポイントです。
ソリューション事業については、GMOリピータスは微増しているのですが、アフィリエイトの紹介事業には不安定な部分があり減収になりましたが、ボラティリティが大きいことを当初から考えているところでもあります。ただし、メディア事業とともに伸ばしていきたいと考えております。
「くまポン」「ポイントタウン」などポイント関連メディアは、前年比5%程度の成長を考えています。「コエテコ」「キレイパス」など業界特化型メディアは前年比15%程度、売上高にして前年比6%の成長を予想しています。
当社において、売上高よりも利益の伸び率が非常に高い理由についてご説明いたします。例えば営業会社は営業マンの数が必要になりますし、多大な設備投資が必要な会社もあります。しかし、当社の事業の場合、少しコストは増えるものの、売り上げの伸びに対してそのままコストが増える事業がないため、限界利益、営業利益率が改善していきます。
25年12月期の重点施策としては、M&Aに積極的に取り組んでいく所存です。
GMOビューティー(旧GMOくまポン)に投資を開始して5年が経過し、このたび利益フェーズになりました。昨年は「趣味なび」という会社の株式を取得し、今後も積極的にM&Aを仕掛けていく考えです。
2020年に発表した5か年計画が終了し、2024年12月期には過去最高利益を達成いたしました。GMOインターネットグループ全体がITの力で社会を変革してきたように、当社もまた、コミュニケーションやメディアのあり方に変化をもたらしてきたと自負しています。今後は、教育分野にもAIを積極的に取り入れ、さらなる社会変革に挑んでいきたいと考えています。
当社では、人的資本経営のさらなる強化を目指し、すべてのパートナー(従業員)がAIリテラシーを高めることを重要な取り組みの一つと位置づけています。その実現に向けて、ITやAIに関する知識の習得を積極的に支援しており、「ITパスポート試験」や「G検定(ジェネラリスト検定)」の受験を推奨しています。その結果、パートナーの9割以上が「ITパスポート試験」を取得し、さらに6割近くが「G検定」に合格しています。(2024年12月末現在)
AIにおける取り組みは、主に2つの軸で進めています。一つは、世の中にどのようにプロダクトを出していくか、もう一つは、業務効率の向上です。業務効率については、生成AIが最も効果を発揮する領域として当社ではカスタマーサポートに注力しています。自社開発したAIエージェントの活用により、業務工数68%以上を削減し、対応人数も人員再配置を含めて65%の削減を実現しました。
産業革命期、イギリスの機織機が職人たちに破壊された「ラッダイト運動」が起きました。当社でもかつて、オフショア開発としてベトナムに開発を外注した際に、様々な意見をいただき、その時にも徹底的にコミュニケーション図りました。それと同じように、カスタマーサポートにAIを導入することに価値観的な懸念がありました。しかし、今回、カスタマーサポートのリーダーたちから「やりましょう」と賛同してもらえたことが、我々が早期に着手し進められた要因だと認識しています。
今後もカスタマーサポートのAI化についてプロジェクトとして推進していく方針です。X年後、3年後か5年後か、カスタマーサポートは人の仕事ではなくなると思っています。そこに先に取り組むか後で参入するかだけと言えるでしょう。当社は先に取り組む決断をしています。
株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
2024年度、GMOメディアはデジタル技術・AI技術を活用し、新たな価値創出に取り組んでまいりました。
特に、学び領域では「コエテコ」のコンテンツ拡充、美容医療領域ではDXサービスの提供強化を進めております。また、各メディアの成長に加え、ストック事業の展開にも力を入れ、より安定した収益基盤の確立を目指しております。
変化の激しい時代においても、GMOメディアならではの「技術力×メディア運営力」を強みに、新たな市場価値を創造し続ける企業でありたいと考えております。そのために、AIを活用したサービス進化とストック事業の強化を推進し、持続的な成長を実現してまいります。
この歩みを進められるのも、日頃より支えてくださる株主の皆様のおかげです。皆様とともに成長し、企業価値のさらなる向上に努めてまいりますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2024年12月期は、4期連続で配当金を増額いたしました。2020年12月期から開始した5か年計画の超過達成と上場10期を記した記念配当を加え、年間配当金は1株あたり196円となりました。また、2025年12月期より配当性向の方針を50%から65%以上に引き上げ、株主還元を拡大いたします。
そして、株主様への利益還元も考え、2024年11月より発行済み株式数に対し約1%に相当する2万株、上限1億円の自社株買いを実施いたしました。
総還元性向に関しては、PBR(株価純資産倍率(Price Book-value Ratio))の低い会社が還元性向を上げるという傾向もあります。ただ実態としては利益の還元、自社株買い、優待を含めた、いわばインセンティブプランも投資家の皆様が重要視されているということで、その水準が上がってきている認識があります。 配当性向を50%に決めたときも十分に高いと言っていただきましたが、我々としてはもう一段高くすることにいたしました。もちろん成長はしていかなければなりませんが、還元も他社に比べて優位でないといけない。成長と還元は両輪だと思っています。
昨年11月に記念配当を発表したときに、感覚的にですが「新しい投資家」との接点が生まれたと実感しました。定量的に見ているわけではないのですが、12月に株主名簿を締めたときに株主様が増えたことや出来高を含め、またSNS等でこれまで出ていなかった当社に関する投稿が良い悪いは別にしても増えてきたということもあります。 「無名より悪名」と言いますが、どんな形でも投資家の皆様たちに気にしていただいているのはありがたいこと。市場変更も視野に入れつつ、これからも投資家の皆様に注目されていきたいと思っています。
当社と「AI(人工知能)」とのご縁は、2010年から始まっています。ChatGPTをきっかけにAIが世に広く知られるようになったのが2022年ですから、かなり前から関係があったといえます。
きっかけはGMOインターネットグループのAI顧問である松尾豊教授(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター・技術経営戦略学専攻)です。
松尾教授の活動を通し近い将来にAIの大波が必ず来ると確信しました。事業でもAIを扱うべきだし、“AI人財”の必要性も強く感じました。AIは、エンジニアだけでなく社会人にとって必須のリテラシーになるに違いないと考え具体的な取り組みを検討してまいりました。
人的資本経営の強化と全職種のパートナー(従業員)のAIリテラシー向上のため、日本ディープラーニング協会(以下、JDLA)が提供するビジネスパーソン向けAI/ディープラーニング講座「AI For Everyone(すべての人のためのAIリテラシー講座)」(https://www.jdla.org/certificate/everyone/ 以下、「AI For Everyone」)の受講を必修化し受講が完了しました。
また、AI・ディープラーニングの活用リテラシー習得のための「G検定(ジェネラリスト検定)」(主催:JDLA)取得率は目標の50%を達成。「ITパスポート試験」(主催:独立行政法人情報処理推進機構)も自社商材を活用して合格率100%を目指します。
「AI For Everyone」は、すべてのビジネスパーソンに向けた、AI・ディープラーニングについて「知る」ための講座です。JDLAでは、世界最大級のオンライン講座プラットフォームであるCoursera(コーセラ)上で、既に全世界60万人以上の受講者を誇る人気のコース「AI For Everyone」に、JDLA制作のJDLA理事長で東京大学大学院の松尾豊教授の日本向けコンテンツを加えた特別版を提供しています。
AIの基礎を学びたい方、今の組織をAIを使いこなせる組織へと変革させたい方、そんな方々に、理系文系、職責や職種を問わず、受講できる内容となっています。
⽣成AIを活⽤した問題⽣成技術に関する特許を2件取得。
〇×問題を⽣成する技術は「まいにちクイズボッ クス byGMO」で、複数選択肢の問題を⽣成する技術は「コエテコStudy byGMO」にて活⽤。その他にも、複数のAIを活⽤した技術で特許を出願中。
問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラムに関する特許(以下、「クイズGPT」(※1))を取得しました。(特許番号:特許第7546809号)
「クイズGPT」は、目的に応じた情報ソースを読み込ませることで、生成AIによってキーワードを抽出し、そのキーワードに関連するクイズを1分間で約5問作成することができる技術です。
この技術は、GMOメディアが運営するクイズプラットフォーム「まいにちクイズボックス byGMO」や、小テスト作問ツール「コエテコStudy byGMO」に活用しています。(※1)「クイズGPT」は、GMOメディアの登録出願中商標です。
問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラムに関する特許を取得しました。(特許番号:特許第7566195号)
本特許技術は、目的に応じた情報ソースを読み込ませることで、その情報に沿った複数選択肢の問題を自動的に生成できる技術です。GMOメディアではこの技術を活用し、科目「情報Ⅰ」の小テストを簡単に作成できる「コエテコStudy byGMO」を提供しています。
クイズGPT | コエテコStudy byGMO | |
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発明の名称 | 問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラム | 問題生成装置、問題生成方法および問題生成プログラム |
発明の特徴 | 問題自体にハルシネーションを起こして 〇×で解答する問題を生成 | 解答の選択肢にハルシネーションを起こし 複数の選択肢がある問題を生成 |
主な活用事例 | 〇×クイズの生成 | 試験問題の生成 |
特許番号 | 特許 第7546809号 | 特許 第7566195号 |
特許取得日 | 2024年8月29日 | 2024年10月3日 |