GMO Media Press

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TOP INTERVIEW

トップインタビュー

代表取締役社長森 輝幸 代表取締役社長森 輝幸

事業ポートフォリオの再構築により、計画より1年前倒しで過去最高益実現

株主の皆様におかれましては日頃より多大なるご高配を賜り誠にありがとうございます。

 2023年12月期は、売上高は前年同期比12.1%増の6,266百万円、営業利益は前年同期比72.0%増の533百万円、経常利益は前年同期比75.71%増の540百万円となりました。

 事業ポートフォリオの再構築を行う中で、ブログや掲示板などソーシャルメディア事業の撤退により、一時的に業績は悪くなりましたが、ポイ活・ゲームのプラットフォーム提供を中心とする事業と教育・美容医療分野の新規サービスにより再成長することができ、5カ年計画の中で、結果として1年前倒しで目標を達成することができました。

 1年前倒しで達成できた要因は2つあります。1つは、私どもがソーシャルメディアとよんでいたコミュニティ的なサービスはほぼ全てなくなる想定で作っていたプランにもかかわらず、結果として新規の投稿型小説サイトが非常にうまく立ち上がったことがあげられます。このサービスに関しては再成長計画には織り込んでおらず、2020年頃はほぼゼロに近かったのですが、昨年は250百万円規模の事業にうまく成長してくれました。2つめの要素は、「コエテコ」という教育系事業が予定より少し上振れて進捗をしてくれた点です。

事業ポートフォリオの再構築

ブログや掲示板等のソーシャルメディア事業の撤退により、一時的に収益を悪化させるも、
GMOリピータスを中心とするソリューション事業と、教育・美容医療分野の新規サービスによる再成長。

2016 2023 増減
ポイ活メディア 50.6% 39.7% -10.9%
投資育成メディア 0.0% 23.9% 23.9%
ソーシャル
メディア
38.0% 9.9% -28.1%
ソリューション 10.8% 25.8% 15.0%
その他 0.6% 0.8% 0.2%
合計 100.0% 100.0%
事業ポートフォリオの再構築

*表⽰桁数未満を考慮して概算表⽰しておりますので、上記の値で計算した場合と差異がございます。

連結会社別営業利益推移

営業利益も、サービスポートフォリオ再構築により、順調に成長し過去最高益の533百万円を達成。

連結会社別営業利益推移

投資育成事業への投資を継続してさらなる成長を目指す

 既存のポイ活系事業をベースに、投資育成事業である教育や美容医療など、バーティカル、専門に特化した投資育成メディアと、ソリューション事業を積んでいくのが基本戦略です。さらに当社が強みとしている「お得感」をベースにしたポイ活や、ゲームのプラットフォームの外部提供が好調なので、引き続き注力していきます。ここは自社単独で展開するだけでなく、いろいろなパートナー様に提供しながら横展開もして経済圏を大きくしていこうと思っています。その複雑系な仕組みによる競争力が他社には真似できないものになりつつあるのでベースとして伸ばしていきます。

 さらなる我々の強みは、かんたんゲームボックスの中の「まいにちクイズボックス byGMO」です。このスマホのクイズを月に1回以上答えてくれている人が260万人もいることがあげられます。これは国内最大のユーザー数です。実はその半数が50代以上のシニアで、認知症対策でやっているという声も聞きます。

 認知症対策は、日本だけでなく地球規模で社会課題の1つです。高齢化に伴い、お年寄りの比率が増え、その中の一定数が認知症になっていくわけです。それによって社会コストが増えていくのがこれからの大きな課題です。

 当社では、認知症になる前のMCI(軽度認知症)ゾーンの人たちに向けて、クイズの延長線上で脳トレのようなサービスの提供を予定しています。それによって、我々自身が教育と美容医療に続く、新しい社会課題解決型の事業を展開していきたいのです。教育と医療分野と隣接して、シナジーも出てくる分野だと考えています。

 さらに目先の目標として、営業利益1,000百万円をあげています。公式が当てはまるかはわかりませんが、営業利益×10=時価総額という会社が類似会社に多いので、営業利益1,000百万円で時価総額10,000百万円ぐらいには評価していただけるのではと思っています。

代表取締役社長森 輝幸

 現在、「キレイパスコネクト byGMO」というSaaS事業も行っております。昨年は50百万~60百万円ほどの赤字で、今年も50百万円ほど投資しています。それが、おそらく今年度中には単月黒字になる予定です。5カ年計画をこなしながら投資してきた部分が、来年、再来年に芽が出てくるのを楽しみにしています。

 当社はインターネット業界が長く、私ももう30代の若手経営者ではありません。ただ、インターネット業界で働く前にほかの業界でも仕事をしていたことは、自分自身の強みだと思っています。インターネットビジネスをするうえではもうサイバー空間だけで閉じていてはだめで、リアルとの融合を考えなければさらなる成長が見込めないのです。

 リアルとの融合に関しては、「コエテコ byGMO」はリアルの教室に送客をしています。

 美容医療事業はますます成長が期待できる事業となっています。美容医療市場については「4,000億円を推移」というデータがありますが、私どもは中身が変わっていると見ています。メスを使わない非外科的施術比率も高まるなど、技術が進歩していますし、美容医療自体がとてもカジュアルになってきていることも大きいです。「キレイパス byGMO」でも美容クリニックへの送客や、クリニックのDXがメインです。しかしクリニックのサポートという意味では求人、広告出稿など、付帯したさまざまなサポートにも可能性が広がっています。

2024年は投資育成事業を重点戦略に、さらに「3つのチャレンジ」も

 2024年12月期売上高は10%成長で6,900百万、営業利益は650百万円で22%成長と開示しました。重点戦略としては、投資育成事業の「コエテコ byGMO」「キレイパス byGMO」などのアップサイドを取りに行きます。

 さらに業績見通しには織り込んでいないチャレンジが3つあります。1つめは、ブロックチェーンゲーム、Web3.0向けのチャレンジです。Web3.0自体は現在AIの勢いに押されていて、その注目度が低くなっていますが、これからは新たな可能性が出てくるかもしれません。昨年末にプラットフォームをリリースして、今年3月には新たなゲームがのってきます。

 2つめは先ほど言及したMCI(軽度認知症)向けのクイズです。質の転換をどんどん図って、社会になくてはならないサービスにしていきたいと考えています。3つめは、日本で順調な当社のカジュアルゲームを、今夏ぐらいから海外にも供給していこうと思っています。世界でもカジュアルゲームはとても人気で、しかもノンバーバルで言語が要らず、ローカライズも容易で、老若男女、地域を選びません。まずインドからチャレンジの準備を進めているところです。

株主還元は50%の配当性向、社会にとってなくてはならない存在に

 株主還元計画としては、投資家の方々に応援していただいたので一緒にハッピーになっていきたいという考えで、50%という配当性向で実施しております。

 当社はグロース市場ですので、個人投資家の方々に支持いただけるかどうかが大事です。業績は必要条件ですが、十分条件としては、教育はもちろんMCI対策も含め、インターネットを通じて社会にとってなくてはならない会社になっていきたいと考えています。

新たなスタートラインに立ち、30周年を迎える2030年を目指しさらなる成長を

 公募が5,100百万円だったので、どうにかその金額を上回ったにすぎません。上場した時はコミュニティ事業が主で、ブログや掲示板などの投稿型Webコミュニティの収益が高い会社でした。それがシュリンクしていく中で苦しんだ時期もありましたが、ようやく元に戻せて改めてスタートラインに立てました。

 撤退すべき事業はほぼ終了しました。これからは一過性の事業ではなく、腰を据えてしっかりとアップサイドを狙いに行きたいと思っています。キャッシュは潤沢にあり、まだまだ数は足りていませんが、M&Aシーディングもしているので、オーガニックグロースはもちろん、それに加えてM&A成長もしていかなければいけないと考えています。

AIフル活用&強い会社へ(ストック強化)

強い会社へ

強い会社へ

などAIを積極的に活用した取り組みを実施

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2024年は、
トライから本格活用のフェーズへ

 ところで、私は3、4年前から次のビッグウエーブはAIだと発言してきました。すでに3年前にはAIの研修を社内に取り入れています。その結果、一昨年の当社のカスタマーサポートコスト、ユーザーの問い合わせ対応コストは100百万円ほどありましたが、かなりの部分を自動返信にしたことで、昨年は70百万円にすることができました。さらに踏み込んで、今年は1年かけて30百万円程度に減らす予定です。

 当社にはこれまで蓄積されてきた何万件というカスタマーサポートのデータベースがあるので、それを今AIに学習させているところです。今までは人間がやらざるを得なかった部分、たとえば個人ユーザーから「ポイントがついていない」というような指摘があった場合は、従来は人間がステイタスを見に行っていました。それを、AIがユーザーのIDとステイタスを見に行き、きちんと回答できるようになるまでAIをチューニングするべく開発を進めています。

 というのも、カスタマーサポートで一番大事なことは、お客様が「今」困っている、それにすぐに対応することです。たとえば土曜日の夜中に困っているのに、返事が返ってくるのは日曜日の昼間。それでは遅いのです。AI化することによって、お客様が困っている「今」すぐに解決できることが最大の価値となります。

2023年末に全正社員パートナーが、『AI For Everyone』の受講を完了

職種を問わず、正社員パートナーのIT‧AIリテラシー向上に向けた取り組みを強化。
資格取得率も順調に推移し、⾃社商材を活⽤したITパスポート試験の合格率100%を⽬指す。

2023年末に全正社員パートナーが、『AI For Everyone』の受講を完了
ITパスポート
合格⽐率
G検定
合格⽐率
2023年10⽉末 16.9% 14.1%
2024年3月 42.8% 32.4%

*GMOメディア単体 2024年3月現在

 経営者として、できるだけ雇用は守っていきたいと考えておりますが、我々のような無料サービスのカスタマーサポート業務は5年後には、AIが代替し、なくなっている仕事です。そこで、会社としては、『ピンチはチャンス』でスタッフにリスキリングを促進しております。

 すでに当社ではカスタマーサービスのスタッフが今一番AIに詳しい人になりつつあります。現在の自分の仕事をなくすことができたら「グッジョブ」なのです。スタッフがこの活動を通じて、AI使いになったら、社内のほかのサービスでAIエバンジェリストにもなれますし、おかしな話ですがどこにでも転職が可能になるのです。

 当社は上場した当時と今とでは、違う会社になっています。30周年を迎える2030年にはさらに違う会社になっていますので、ぜひ楽しみにしていてください。

代表取締役社長森 輝幸

Column

森社長の「座右の銘」とGMOメディアのこだわり

 京セラの故稲森和夫さんの言葉に「動機善なりや、私心なかりしか」というものがあります。私も当社の代表をやらせていただいていますが、私の会社であって私の会社ではありません。何か新しいことを行う時は、「これは本当に良いことなのか」「私心はないのか」と、自らに問うようにしています。

 当社は、上場前は個人の方の満足や笑顔のためと考え、個人の方をハッピーにするポイントサイトやゲームなどのサービスや、ブログ・掲示板など、個人の表現をサポートしてきました。それが上場を機に、個人のハッピーも追求しつつ、我々の活動を社会的に建設的なことにつなげていきたいと考え、教育系の事業にも進出しました。「これは誰の笑顔になるのか」を考えながら、今は個人のみならず、少子高齢化人口減の日本社会に役立ち、未来に貢献できることを生み出していきたいと思っています。

 それが、稲森さんの「動機善なりや、私心なかりしか」につながる精神だと思っています。

代表取締役社長森 輝幸

 インターネットサービスは「変化対応業」です。インターネット上ではいくつものサービスが流行っては廃れてを繰り返しています。当社も多くのサービスを始めては終了するを繰り返し、トライアンドエラーを重ねてきました。変化に対応できるかどうか、また変化を面白いと思えるかどうかがGMOメディアのもうひとつのこだわりだと思っています。

 もちろん、企業には永続や継続も大事です。しかし、昔はパソコンがメインのデバイスだったのが、ガラケーに移り、スマートフォンとなりました。デバイスが変わると大きな変化が起こり、それに対応していかなければなりません。そして今はAIの時代になりました。AIにも積極的、能動的に対応しています。

 先の読めない現代ですが、これからもいろいろな挑戦を何回も繰り返していくつもりです。そうした挑戦が、我々にとってエネルギーの源泉なのです。「誠実」に「挑戦」し、「創造」していく。この3要素がGMOメディアなのです。

FINANCIAL SUMMARY

決算サマリー

2023年12月期 連結業績状況

  • 売上高

    62.6億円前期比12.1%増
  • 営業利益

    5.3億円前期比 72.0%増
  • 経常利益

    5.4億円前期比75.7%増

連結業績推移

  • 売上高

    売上高
  • 営業利益

    営業利益
  • 経常利益

    経常利益

TOPICS

投資育成事業の成長戦略

既存の収益事業で得た利益を成長領域である教育、美容医療関連事業への投資に振り向けるほか、これら成長領域でDX事業(SaaS事業)を育成することで収益の安定性を高めながら、年率10%以上の持続的成長を目指す。

TOPICS 投資育成事業の成長戦略

2つの成長業界特化事業を育成

  • コエテコ by GMO

    DX時代の⼈材戦略で重要な「プログラミング」や社会⼈の学びを応援するサービスを提供。また、教育業界のDX⽀援サービスも展開。

    プログラミング教育
    社会⼈の学び(リカレント‧リスキリング)
    DX⽀援
  • キレイパス by GMO

    美容医療を受けたい⼈とクリニックをつなぐサービス「キレイパス」のほか、美容クリニックのDX⽀援を⾏う「キレイパスコネクト」を展開。

    美容医療チケット購⼊サービス
    DX⽀援

投資育成事業の複利成⻑戦略

投資育成事業の複利成⻑戦略

教育事業 コエテコ

  • Kidsの強みfor子ども(保護者)

    Kidsの強みfor子ども(保護者)
  • Campusのポテンシャルfor社会人

    Campusのポテンシャルfor社会人

美容医療事業 キレイパス

登録会員数が前年同期比の約1.4倍

新規クリニックの掲載数増加やアプリのUI/UXの継続改善により、登録会員数が2023年12月時点で前年同月比48%増と順調に拡大。リピート需要も高く、会員数も順調に増加しています。

  • 会員数推移

    会員数推移
  • チケット購入件数

    チケット購入件数

*2020年12⽉‧4Qを100として⽐較。上記データは概算の数値となります。

成長戦略

チケット販売サイト「キレイパス」を核とした集客サポート事業のほか、クリニック接点を活かし美容クリニックのDXを行う。

成長戦略

コネクト(DX事業)

美容クリニックの院内業務をまとめて管理できるサービス。
直観的に操作ができるシンプルな設計により、使い方に悩まないストレスフリーで効率的なオペレーションを実現。

特徴
  • 予約から顧客管理までワンストップ
  • 誰でも使えてわかりやすいインターフェイスデザイン
  • 待ち時間カット‧予約の簡易化‧決済⼿段の豊富さなどで顧客(患者)の利便性向上
特徴

DX事業(ストック収益の拡大)

Web予約から、会計経営分析まで、一気通貫のオールインワンで提供。

DX事業(ストック収益の拡大)